みそじのおんかつ

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音活真っ盛りのおばちゃんです。

【今月のオススメ記事】

【作詞】オリジナリティを出す斜め70度からの考え方



オリジナリティを出す斜め70度からの考え方
こんにちは、さとう(@sayakasato00)です。

つい先日作詞についての方法を記事にした所、思った以上に反響がありましたのでもう一つテクニックとして当たり前の言葉を斜め70度から見る事で言葉のオリジナリティは生まれるというお話をしたいと思います。この方法は特にAメロやBメロに使う事ができ、作詞についての方法でいうところの分かりにくさに当たります。

人というものは分かりきってる話をいつまでもされるのを嫌う反面、分からない言葉をいつまでも並べられるのを嫌います。そのために「楽曲の中でどのようなバランスで1つのテーマに沿った言葉を作っていくのか」と言う事は曲を最後まで聞いてもらう為にとても重要です。ここでいう斜め70度という視点を持つ事で上手くバランスを整えながら歌詞を構築していく事で、飽きさせずに最後まで楽曲を聞いてもらう事ができます。

特にJ-POPというジャンルは歌詞はとても重要になってきますので、今後作詞をしてみたい!という方はぜひ覚えて欲しい手法です。

テーマ自体はあきりたりなものでも構わない

作詞についての方法でもお話している通り、サビに当たる部分はよりシンプルな言葉・分かりやすい言葉が良いと思います。楽曲の一番盛り上がる所で訳の分からない言葉を並べられたとして、それがリスナーに届くとは思えません。もちろん意図的に難しい言葉を並べる事もありますが、それはあくまでハズシ曲(アルバムなどでメインで聞かせたい曲以外の曲。捨て曲と呼ばれる事もあります。)や、アーティスト性が確立された人のみに許される事であり、またその言葉も個性が確立されている人のみが許される行為ではないかと考えています。そのため、最初は出来るだけシンプルな伝わりやすい言葉でサビを構築していくのが良いのではないかと思います。

もちろん、恋愛をテーマにした曲だとしても毎回ストレートに「君が好きだー!」だけではレパートリーが少なすぎますので、「君が好き」以外にも「君以外考えられない」や「君が作った手料理が食べたい」など、好きをどのように表現するのかはとても大切です。このサビの表現が上手いなーと感じたボカロ曲はメルトです。

メルト 息がつまりそう
君に触れてる右手が 震える


メルトという言葉だけでは何のことかさっぱり分からないですが、その後に続く息がつまりそうやサビまでにかけての「君」をどう思っているかの表現で恋愛の曲だという事が一発で伝わります。その他のサビらしさについての手法も過去記事で触れていますのでよければご覧下さい。

70度から0度

これはあくまで一つの方法としてですが、Aメロからいきなり難解な言葉を並べられても情景が浮かびませんし、サビが良くても最後まで聞いてもらえません。しかしありきたりな言葉だけでも飽きられてしまう。流れとしてはAメロ~サビにかけて70度から0度に言葉を物事を見て言葉を作っていく事が大切です。実際にテーマ別で解説していきます。

テーマ①恋愛

恋愛がテーマの場合は必ず主人公である「私」と恋愛対象である「君」の2人以上の登場人物が出てきます。そして学生なのか、社会人なのか、住む世界の違う同士なのか、など様々なシチュエーションもあります。AメロやBメロの役割はサビで出てくるテーマに向かうためのストーリー作りやリスナーを世界に惹き込むですので、時間や場所、「私の気持ち」や「君の事」などを書いていくのが良いと思います。

かと言って説明口調に「私は高校生で今は朝で」などと言うのはリスナー側からするとうざったいものです。先程例に挙げたメルトで見てみます。

朝 目が覚めて真っ先に思い浮かぶ 君のこと → 時間は朝で「私」は起きたばかり。
思い切って 前髪を切った「どうしたの?」って 聞かれたくて → 前日の「私」の行動。「君」に夢中で話すきっかけが欲しくて前髪を切った

ピンクのスカート お花の髪飾りさして 出かけるの → 「君」と遊びに行く予想が出来るのでおそらく日曜日
今日の私は かわいいのよ! → メロの盛り上がりと合わさって「私」が「君」に会いに出かけていく情景

歌詞というのは作者の考えや情景全てを書く事がないので、半分ほど私の予想も入りますがAメロBメロでも説明口調ではないのにちゃんと情景を浮かべる事が出来ます。またこの言葉の並びから「私」は学生かな、という予想も出来ます。Aメロでは「私」の現実世界での状況、Bメロでは更に「私」にフォーカスを当て気持ちを詰め込む、そしてサビの「メルト 息がつまりそう」で「君」に会ってからの表現のために「私」が出かける準備をして会いに行くまでの時間経過も表現されています。

テーマ②欲求

あまり見かけないテーマかもしれませんが、こちらをテーマにしている楽曲でマキシマムザホルモンのW.H.UがAメロBメロに関しては個性的、かつバンドマンであればあるあると共感も出来る言葉になっています。

金ねぇんだ つれぇんだ それが貧乏バンドだ → 主人公の「私」が貧乏かつバンドマン。
オーリー系パーマに負けんぞ → ダメ人間な「私」でも一生懸命上を目指しながら活動している情景
弾け!いざレスポール! → 「私」のパートがギターである


レスポールという単語はバンドマンでないと聞き馴染みはないかもしれませんが、これはバンドマンや音楽活動をしている人へ向けた曲になっているので敢えてこの単語を使っているのだと予想出来ます。リスナーを限定させるわけではないのですが、特にこういう欲求や葛藤なんかをテーマにする場合はピンポイントに狙いを定める事でより強烈な言葉を作る事が出来ます。またこの楽曲はAメロとサビという構成ですが、「金ねぇんだ つれぇんだ それが貧乏バンドだ」か「弾け!いざレスポール!」までどんどんフォーカスが「バンドマン全体」から「私」個人へ向かってくる表現が感じられます。

テーマ③風刺

こちらはよく見かけるテーマではありますが、やる人は限定されているのではないかと感じます。しかし現代に不満を持っていたり憤りを感じていたりする人へは強烈なアプローチをかける事が出来ますし、言葉選び次第では芸術と感じられるような楽曲にも仕上がるテーマだと思っています。高橋優さんの駱駝は表現が素晴らしいと思います。

子供みたいに笑えるかい?飾るんじゃなくてありのまんまで → 「君」への問いかけ。これから「君」へ話すという表現
なんにも要らないのに全て与えられて → 現代社会のものが有り余ってる・何でもある事の表現
僕らの手に余る矛盾 マナーモード捨てたいな → 情報過多・SNSの交友関係などでストレスを感じているのに切り捨てられない表現


この楽曲は全体を通して言葉選びが強烈ながらも素敵です。社会風刺ながらも最後は前向きですし、それが共感を得られるポイントなのではないかなと思います。

斜め70度はビジュアル系から学べ!

特に恋愛歌詞においてビジュアル系バンドの表現力は豊かだなと思っています。最近のボカロ曲も素晴らしいものが多いのですが、分かりにくさ・難解さ・物事の見方はビジュアル系に学ぶ事は本当に多いです。

ビジュアル系バンドはみんな恋愛の曲があります。今後ビジュアル系をやりたいと思う人はもちろん、恋愛の歌詞を書きたいと思う人にも役立つ言葉が多いのではないかと思います。共通するのは「非日常感」を演出している事です。衣装にも共通する事ではありますが「ここではないどこか」を歌詞や衣装全てで演出する事でバンドとしてのブランドを更に強固にしていきます。

ここでいくつかの「日常の言葉」をビジュアル系っぽい「非日常の言葉」に置き換えてそれっぽくしてみましょう。

花粉症 → 繰り返し粘膜を犯す 春がまた僕を苦しめる
アルバイト → 定められた拘束
パソコン → 全知全能の言葉無き無機質なオマエ


少し言葉を変えるだけで「非日常感」が演出出来るかと思います。またこれを見ると分かる通りテーマがどんなものでも斜め70度から見る事でたくさんの面白い表現が見えてくるのではないでしょうか。

まとめ

作詞は言葉遊びの面が多いですから、ありきたりなテーマでも書き方次第でいくらでもオリジナリティを生み出す事ができます。様々な楽曲の歌詞を見ながらどんな事を伝えているのかと考える事を繰り返す事でその力は身につきますし、よりサビのストレートさが際立ちます。普段の生活で見えるものや感じる事を斜め70度で表現してみるというのも良い練習方法なのではないでしょうか。作曲も作詞も繰り返す事で上達します。様々な表現力とオリジナリティを手に入れるための参考になれば幸いです。

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